巡り合った南相馬の地で、沢山汗をかいて自分たちの生活を創る

2019年4月、娘さんと南相馬に移住された和田川久美子さんは、2020年3月-4月の福祉美容室・パン屋さん開業を見据えて、現在福祉美容室でのクラウドファンディングを始めています(9月30日までの募集)。南相馬へ移住したきっかけや移住後の出来事、今後の創業の展望についてお聞きしました。
(参考)クラウドファンディングページ:「車イスで安心して入れる福祉美容室を始めたい」
https://readyfor.jp/projects/26689

移住先を探して出会った南相馬の家、自分の人生に責任を持って住む

──長く移住先を探していた中、南相馬に移住を決められたきっかけを教えて下さい。

もともと福島県会津若松市の出身で、昔から「いつかまた福島で住みたい」と考えていました。東日本大震災当時と、南相馬に移住するまでは神奈川県で住んでおり、震災以降の福島に心を痛めて、「福島の今をともに生きたい。福祉美容の知識を福島で役立たせてほしい」と想いを募らせていました。
娘も賛同してくれていて、また(娘は)ずっとパン屋で働いており、「いつか独り立ちしたい」と話していたことが、移住への踏ん切りをつけるきっかけにもなりました。

移住先を探すとき、いわきはすでに復興していて、福島県沿岸部12市町村(相双地域)を見て、ここでなら何かできるのではないかと思いました。2017年12月にFVCが主催する現地視察ツアー(楢葉町、富岡町)に参加後、FVC事務局と移住の相談先や活用できる補助金、事業内容などを相談しました。結果的に南相馬に移住先を決めたのは、空き家バンクに掲載されていた物件にピンと来たことです。実際に現地に足を運び、家を見て即決しました。物件見学の際、多くの住民に「あっちにも空き家があるよ。こっちにもあるよ」とその場でご紹介いただき、お目当ての家も詳細な住所がわからないところを、聞いて周りながら案内してもらいました。

家の周りを調べたり近隣の方々と話す中で、家の周りにはパン屋がなく、また女性に合う食事処もないことがわかりました。将来的にはパン屋だけでなく、女性のコミュニティ場所として利用できる場所を作りたい、という気持ちも沸いてきました。


(左:和田川さん)

──移住後、様々な出来事があったと聞きました。どんなことがありましたか。

家を購入して移住を決めた後、改めて近隣を回って挨拶していて、皆さん「(美容室やパン屋の)オープン楽しみにしているよ!」と言ってくださっていました。そして、移住した3日日後、家に屋根裏にハクビシンが住みついていることを知り、床下にシロアリやアオダイショウもいて、などなど、その駆除や家の修繕に大きなお金がかかることがわかって、とても落ち込みました。。

でも、「自分の人生に責任を持つ」と選択して、「私たちがこの土地に来たという意味があるはず」と気持ちを奮い立たせました。業者に頼めば多大なお金がかかるところを、全くの初体験ながらできる駆除や修繕は自分たちでやろう!と、埃だらけになりながら工具を買って、数か月かけてDIYしていきました。地元の人に相談しながら一歩一歩進めて、「(女手2人で)本当にやったのか!」と驚かれました。この経験を通して、自分たちから相談して実行することで地元の人たちが色々と教えてくれる / 認めてくれること、そして田舎に住むことの覚悟ができたなと思っています。今では内装も未経験ながら自分たちでDIYしています。

美容室とベーカリーからはじめて、地域に開いた場所を創っていきたい

──今年度2020年3月-4月に福祉美容室とパン屋を開業予定ですが、どんな場所にしていきたいですか。

自宅兼美容室・パン屋として開業します。美容室は普通のお客様も対応しますが、高齢者が多い地域なので車イスで入れる場所に改築し、店に来られないかたへの出張でカットも行います。また、ベーカリーカフェをオープンします。店名は、地域名を入れた「仁坂の森の栗の木ベーカリー」です。
ゆくゆくは、地域の農産物を使ったランチも提供しつつ、農産物なども販売したり、地域の女性がイベントできる場所としても開いていきたい。この場所に来たいと思ってくれる場所にしたいと思っています。

美容室とベーカリー、それぞれ準備のお金がかかるので、美容室はその一部の必要資金をクラウドファンディングで工事費用を集めています(9/11時点で100万円目標のところ54万円以上の支援)。また、助成金も活用しようと、福島相双復興官民合同チーム(福島相双復興推進機構)さんに手伝ってもらいながら申請準備しています。


(内装:いずれカフェ等で開いていく予定)

──福島県沿岸部12市町村でチャレンジする人たちへ、メッセージをお願いします。

移住先や、創業する地域を決める時、地域のキーパーソンや行政の方だけでなく、一般住民の方々との交流が必要です。ぜひ生の声を聞いてほしい。(移住先の出身など地域とつながる)バックグラウンドが無いと、地域の方々からは「なんでこの地域なんだろう? (数年で離れるのではなく)本当に長く住んでくれるのかな?」と思われます。

一方、福島と共に生きてくれる人には、協力してくれると感じています。なので、移住するかを迷っている人には安易に背中を押せません。自分の責任で、覚悟を持って来てほしい。やりたいなら、やるしかないので、自分の食べるものや住んでいる家とその周りなどを大切にしながら、ドロドロになって、滝のように汗をかいて、地域に染まっていくことが大事だと思っています。

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<クラウドファンディング情報>
「車イスで安心して入れる福祉美容室 美容室に行きたいけれど、行けない。そんな方々の力になりたい」
目標金額:1,000,000円
締切:9月30日(月)23:00
形式:All or Notheing(9月30日(月)午後11:00までに1,000,000円以上集まった場合のみ、目標達成として支援された金額が入金されます)
URL:https://readyfor.jp/projects/26689
参考記事:福島民報8月21日(https://readyfor.jp/projects/26689/announcements/109957)、福島民友8月23日(https://readyfor.jp/projects/26689/announcements/110151
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(裏庭からの1枚:店名に入っている栗の木もあり、海も見える)

Profile

福島県会津若松市出身。管理美容師、介護福祉士、1級訪問美容師の資格を取得。近年7~8年は活動の拠点であった神奈川でNPO理美容福祉協会を立ち上げ、病院や老人施設、個人宅への訪問美容を専門とし福祉美容師として活動。2019年4月に福島県南相馬市へ移住。2019年8月に「車イスで安心して入れる福祉美容室を始めたい」とクラウドファンディング(READYFOR)を実施(100万円目標、9月30日締切)。2020年3月-4月に自宅兼福祉美容室・パン屋を開業予定。