この場所でこそ叶う夢もある

福島市で農業を営み、2018年から南相馬市にて稲作をスタートした株式会社カトウファームの加藤絵美さん。広がりのあるスケールで事業を着想している加藤さんに、南相馬で稲作をはじめたきっかけや現在の課題、今後の展望についてお聞きしました。

FVCをきっかけに南相馬で稲作にチャレンジ

──南相馬で稲作を始められたきっかけを教えてください。

一番のきっかけは、2017年にFVC南相馬ツアーに参加したことです。南相馬市の職員をしている知人がいた、ということもあります。南相馬は農業の担い手があまりいない環境でしたので、私たちの挑戦を歓迎していただけました。

──新しい地域への展開はチャレンジングでしたか?

生産面においては難しくないと思っていますが、課題は販路です。無農薬栽培などの高付加価値な商品で差別化し、それを買ってくれる相手を探す必要があります。南相馬には、業者もホテルもレストランも多くなはいないので、どうやって販路を開拓するかが課題と感じています。多面的な取り組みが必要ですね。

──福島市の拠点と南相馬の圃場はかなり距離がありますが、どのように運営されているのですか?

カトウファームが運営主体となり、会津の若手農家さんに手伝っていただいています。まだ小規模な操業ということもあり、農業機材等は福島で使っているものを都度トラックで運んで作業しています。

お米からはじめて、「まちおこし」のチャンスを広げたい

──生産品種について教えてください。

生産品種は「天のつぶ」をメインにしています。コシヒカリのように別の地域でも生産されているブランドは、その生産地の地名だけで売れ行きが決まりやすく、ネームバリューに乏しい私たちの競争力は低くならざるを得ません。加えて、福島の土壌に適した品種「天のつぶ」を、ブランドとして定着させたいという想いがあります。

──今後、お米以外を手掛ける可能性はありますか?

まずは私たちにできることをやるという観点で田んぼに注力していますが、今後は麦やホップの栽培も行う予定です。南相馬は雪が降らないので、麦をつくるのに向いているんです。南相馬産のクラフトビールを作ることも夢ですね! 実は会津でもクラフトビールの挑戦が始まっています。中通りに拠点を置く私たちが、浜通りの南相馬で大麦やホップを栽培し、クラフトビールを作れたら良いなと思っています。
また、栽培から最終処理までの一連の製造工程の拠点を南相馬につくることで、地域の英知を集めた「まちおこし」につながるはずと考えています。たとえば、地元のお酒が飲めるようになると、宿泊の需要もできるし、地域が盛り上がると思います。南相馬は注目を浴びている時期であり、今がチャンスです。

南相馬発のライフスタイルや生き方を提案したい

2017年にベトナムへ行く機会があり、現地でお米とおむすびを販売したことがあります。売れ行きは好調で、特に原料であるお米のほうが売れました。それに、ベトナムにもおにぎり屋さんはあったのですが、あまり美味しいものではありませんでした。おむすびという食べ方も含めて、海外の方に日本のお米を認知してもらう取り組みがあってもよいと思うので、海外向けにも積極的に発信していきたいですね。

──夢は広がりますね。

いろんな人の思いや知恵を結集して、お互いに教わりあいながら、地域で連携して推進できたら素晴らしいと思います。クラウドファンディングのような取り組みもいいかもしれませんね。
また、これは南相馬らしい新しいライフスタイルの提案にもなると思います。朝は美しい海でサーフィン、昼間は圃場で大麦を育て、夜はビールを飲む。他の地域での取り組みも参考にしています。南相馬発のライフスタイルや生き方を確立出来たら嬉しいですね。

──福島県相双12市町村で創業を目指す方々へのメッセージをお願いします。

この場所でなら、自分のやりたい事が叶えられるかもしれません! 私も夢はたくさんあるのですが、堅実に、できることから初めて、一歩ずつ夢に近づいていきたいと思っています。私の妄想のようなアイデアを、一緒に形にしていける方と出会えたら嬉しいですね。