田んぼアートで楢葉町を「年間30万人が訪れる町」にする

起業型地域おこし協力隊として、楢葉町を拠点に田んぼアートプロジェクトを行っている市川英樹さん。今回は、彼をサポートする青木裕介さんとともに、お二人に活動への想いをお聞きました。

楢葉町を「年間30万人が訪れる町」にする

──市川さんが取り組まれている活動の目標を教えてください。

市川:2020年に年間30万人が楢葉町に訪れることを目標に、楢葉町を盛り上げていくことです。最初はみんな「30万人なんて無理だ」と言いますが、信じて行動すれば実現できると思っています。
田んぼアートはそのきっかけづくりです。2015年からの3年間は「我慢の期間」と決めて、地道に活動を続けてきました。だんだん形になってきて、楢葉町にもエネルギーが漲り始めたと感じています。その姿を全国の人に見てもらいたい。

──手ごたえはいかがですか?

市川:田んぼアートには、これまですごい人たちがたくさん参加してくれています。奇跡は起きるものだと思いますね。そもそも田んぼアートにを始めたきっかけは、ドローン撮影をやられているFive-star代表の松本淳さんが声をかけてくれたことです。当時はこんなに大きなプロジェクトになるとは思っていませんでした。続けているうちに土地を貸してくれる人も出てきたし、農協も協力してくれるようになりました。
自分にできることは、人と人とをつなげることや、つながることの仕掛けを作ることだと思っています。人が集まらなければお金も集まりませんし、元気のないところに人は集まらないですからね。そして、つらいことを楽しいことに変えていきたい。しんどいときもあるけど、プラスの言葉を発信し続けることが大事なんだと思います。

お金には替えられない縁がどんどん広がっている

──青木さんと市川さんの出会いを教えてください。

青木:僕は広野町の出身で、震災後は会津に避難していたのですが、2018年5月に広野に戻ってきました。その頃、楢葉町の飲食店「結のはじまり」で初めて市川さんにお会いしました。「結のはじまり」では名刺交換をしただけでしたが、5月の連休あたりに松本さんから声をかけられて、田んぼの測量に伺いました。ちゃんとした出会いはそのときですね。

──そこで意気投合されたんですね。

青木:その日は雨が降っていたんです。市川さんは、カッパも着ずに一人で除草剤をまいたり、とにかく必死で作業されている姿が衝撃的でした。故郷の愛知県から遠く離れたこの地で、どうしてこの人はここまでやるのだろうかと。「市川さんだったら本当に楢葉町に30万人を呼び込むことができるかもしれない」と思うようになっていきました。その後、機会があるごとにお誘いいただいているうちに、いつも近くにいる存在になりました。

──人の縁には力がありますね。

青木:「結のはじまり」を経営されている古谷かおりさんや、古民家を再生させて「木戸の交民家」を立ち上げた緑川英樹さんなど、活動的な若手が楢葉にはたくさんいます。

市川:雑穀米のエキスパートである西山紀子さんのような方もかかわってくれるようになりました。本当に多くの人が応援してくれて、お金には替えられないものがどんどん広がっている感じがします。

──市川さんにとって、青木さんはどんな存在ですか?

市川:青木さんのいいところは迅速、丁寧、親切なところ。自分も青木さんに引き寄せられています。どういうわけか、「なんでこんなところで?」とバッタリ会うことがよくあるんですよ。性格も生きてきた世界も違いますが、田んぼアートを軸にして手を取り合い、事業が展開できるといいと思っています。

──逆に、青木さんから見て、市川さんのすごさはどこにあると思いますか?

青木:本人のバイタリティもすごいですが、頑張っている人を応援する力にも感心します。また、一度会った人のことはよく覚えていますね。会合で会っても、一人ひとり、丁寧に紹介してくれます。人柄やどんな仕事をやっている人なのか、どんなふうに田んぼアートにかかわっている人かなど、とてもよく見ている。それが魅力の秘訣なんだと思います。

夢は福島県産の食材で作ったおにぎり屋を東京駅に開店すること

──今後はどのように活動されていく計画ですか?

市川:これまでは田んぼアートを拡大させていくことを考えていましたが、今後は収穫したものを確実に売っていくことに注力していきたいです。

青木:いわきの四倉で行ったイベントでも、おにぎりやカレーの販売が好調でした。販路開拓に向けて、仲間で知恵を絞っていきたいですね。

市川:一方、企業などのスポンサーをちゃんと見つけていくことが課題です。レトルトパックの雑穀米バージョンなど、他にない商品が開発できるといいです。

──夢は広がりますね。

市川:いつか、東京駅でおにぎり屋を開きたいですね。木戸川の鮭をつかった鮭おにぎりを売りたいんです。もちろんコメは福島産で。東京駅は全世界の人が集まる場所です。日本各地の特産品を売る一角に、福島の鮭おにぎりが並んだら素晴らしいブランディングになります。
田んぼアートだけでなく、生産されたコメや、そのコメでつくった商品販売など、幅広くやっていきたい。その拠点を楢葉につくりたいと思っています。