イベント開催レポート

2017.10.11

川内村・田村市現地ツアー開催報告! 2017.10.07-2017.10.08

先週末10/7-10/8に、川内村・田村市で現地ツアーを開催しました。テーマは「地域資源を活かした起業を考える」。8月の南相馬市・浪江町でのツアーに引き続き、地域課題を事業で解決したいと考える意欲的な方々約20名にご参加頂きました!

このページでは、川内村・田村市現地ツアーの様子を報告しながら、『FVCのツアーに参加するとどんな収穫があるのか?』という問いにお答えしたいと思います。

FVC現地ツアーの収穫 その①
福島12市町村の内外から起業にチャレンジする先輩の活動を見聞きできる

原発事故の避難対象地域であった福島県の12市町村は、一見すると事業が成立しづらい・ビジネスチャンスに乏しいイメージがあるかもしれません。しかし、満たされない住民のニーズが数多くあること、この地だからこそ得られる様々な公的サポートや連携できる様々な主体がいることを考えれば、大きなチャンスが広がっている地域なのです。実際、12市町村ですでに起業されている方も少なくありません。

今回訪問した川内村・田村市にも先輩起業家がいます。かわうちワイン株式会社の高木亨社長は、元々大手メーカーやコンサルティング会社でキャリアを積まれてきた方でした。一念発起して川内村での起業を決意すると、山を切り拓いてワイン畑を造成し、自らワイン醸造を目指すことになります。ワインの醸造に加え、将来的には観光業や飲食業等の関連産業の振興、ワイン醸造人材の育成拠点の構築を見据えていらっしゃいます。

今回視察したワイン畑は広大な土地に約1万本のブドウが植えられており、農場の整備には地域おこし協力隊の方々や住民の方々の協力が入っています。岩本社長は地域での起業について「徹底的にやること」の重要性を訴えます。
「徹底的にいいワインを作るという目標を達成するために妥協はしません。たとえば山を開墾する際、暗渠を作る必要はないと言われたこともありましたが、きちんと暗渠を作りました。中山間地域としての経済活動の復活は、既存産業の焼き直しでは通用しません。徹底してやることで質が認められ、初めて人が集まってきます。」「若者が頑張れば日本は元気になります。そして、そのフィールドは都会ではできない人間本来の暮らしができる地方・田舎だと思うのです。かつて勤めた大企業の同期は、今や皆大きな収入を手にしています。しかし私には全然後悔がない。好きなことを徹底的にやることが、私の気力の源になっています。」

一同は「Cafe Amazon」を営まれるコドモエナジー株式会社岩本泰典社長のもとにも訪問しました。コドモエナジーはガラスの粉と蓄光顔料を混ぜた「ルナウェア」という素材を生産し、非常口のパネル等の製造を手がける大阪に本社のある会社ですが、震災後、川内村と縁があり村に工場を移転されたそうです。

「大阪出身である私は、震災をテレビでしか見たことしかなく、当初福島というところには危ないというイメージを持っていました。しかし、視察の際に川内村役場に入って挨拶したら、たくさんの人が集まっている活気ある様子が見え、驚きました。現地の人々がこれだけ頑張っているのなら、サポートしなければ嘘だろうと思い、工場をつくることを即決しました。」
工場を置いた岩本社長は、村民や県外観光客等が来訪し、地域コミュニティとしての活気や賑わいを取り戻す拠点とするため、Cafe Amazonをオープンします。Cafe Amazonはタイに約1800店舗を構えるコーヒチェーンであり、岩本社長の尽力によって、日本第1号店が川内村にオープンしました。各地にカフェを多店舗展開して、川内村店舗は店員のバリスタ研修の場として活用することが社長の将来的な目標です。「2週間程度の研修をここで行い、全国から来る人の川内村はじめ12市町村の魅力を知ってもらいたいと思っています。」

FVC現地ツアーの収穫 その②
先輩起業家による事業アイデアへのフィードバック・応援を受けられる

現地ツアーには、起業家のゲストが同行します。今回同行頂いたのは『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』で著名な株式会社ユーグレナ出雲充社長。地域起業の難しさと可能性について語るスペシャルプレゼンテーションを実施してくださいました。

「起業にはいくつかの壁があります。一つ目の壁は家族。安定した銀行に勤めていた私ですが、銀行を辞めて起業し、ミドリムシを手がけることになると、家族は否定的な反応でした。二つ目の壁は学校です。学生時代の恩師は、ベンチャーをやると言うと、『儲けるために教育したわけではない。研究者としての誇りはどうした』とおっしゃいました。そして、人々の勘違いも壁になります。科学的な根拠をベースにおかない、感情的な反発が来たのです。ミドリムシ製品を売り出した後、卸先の店舗等から大変な量のクレームと返品が舞い込みます。ミドリムシのサプリメントの周りに置いてある商品まで売上が落ちるから、という理由でたくさんの返品が発生しました。皆さんもこうした壁にぶつかったことはありませんか?」
参加者も体験談を共有します。「山梨の森林で、若い人を集めて山へ入ったところ、森林組合から大変怪しまれたことがあります。」「公認会計士として、プロボノのボランティアを職場で募集しました。ところが、職場で反対する人が多く、隠れてこそこそプロボノをやっているという方も少なくなかったです。」「出産してすぐに起業したかったので、内緒で起業しました。」

対話を重ねながら熱量をどんどん帯びていった講演の最後、出雲社長はこんな言葉を残しました。「これら壁となる人々は、実は皆さんのためを思って助言してくれている存在です。しかし、その助言は、起業家が本当にやりたいと思うことと異なっています。これに耳を貸すと、新しいことはできません。耳を貸してはいけないのです。」「折角の休日に、USJやディズニーランドでなく川内村に来る意思を持っておられる皆さんは、既に『チェンジメーカー』です。起業という形でなくてもいいですから、励ましあえる仲間になっていただきたいと思います。」

現地からも起業家が同行してくださいました。郡山仮設住宅で「あれ・これ市場」を設置したり、川内村のショッピングセンター「YO-TASHI」の設立支援に携わった井出茂 川内村商工会会長です。井出会長は、参加者に村の課題と取り組みを伝えるとともに、前向きなメッセージを伝えてくださいました。

「川内村の強さは、米、野菜、綺麗な水等、他所から何も持ってこなくても命をつなぐことができる豊かな地域資源です。しかしそれを使ったアピールや稼ぎ方は上手ではありません。自信と誇りをもって発信していくことが今後最大の使命となります。起業を目指す皆さんには、あまり準備を周到にやりすぎず、突っ走っていただきたいです。子どもたち、今住んでいる住民の方々が誇りと自信を持って暮らせるような地域をつくりたい。いつでも戻ってきていただきたいです。」

FVCツアーでは事業アイデアを練るワークショップも実施します。今回のツアーではRCF代表理事藤沢が各ワークグループを回って個別にアドバイスをしつつ、地域起業を考える参加者にとって重要な「非市場戦略」の意義についても説明しました。

「既存マーケットではなく、マーケットそのものを創っていく戦略が『非市場戦略』です。AirbnbやUber等グローバル企業も用いる手法です。実は、サービスが行き渡っておらず、プレイヤーの数も少ない地域でこそ、この非市場戦略が有効に働きます。非市場戦略を理解して活用できる方は地域のみならず、現在の東京での仕事にそのノウハウを生かすこともあります。」(参考:藤沢烈BLOG

このように、FVCの現地ツアーは、普段なかなか会えない起業家からアドバイスや応援をもらうことができる絶好の機会です。

FVC現地ツアーの収穫 その③
地域資源の魅力と可能性に直接触れることができる

ツアーの最大の魅力の一つは、なんといっても地域資源に直接触れるプログラムです。今回訪問した田村市の「都路スイーツゆい」「ふぁせるたむら」は市の農業資源(卵・野菜)を上手に活用して6次化に取り組んでいる好事業例です。地元産の鶏卵を用いて人気のプリンをつくりだすスイーツゆいは地元の若い女性を雇用し、子育て世代の応援にも一役買っています。ふぁせるたむらも生鮮食品だけでなく、ジェラートやピザ等を店舗販売し、地元産品のポテンシャルをアピール。参加者の皆さんは、農業資源の豊かさを頭と舌とで体感されていたようでした。

FVC現地ツアーの収穫 その④
仲間とともに事業アイデアを磨き、実行へと踏み出せる

そして、こうした収穫を踏まえて、参加者の皆さんは仲間とともに事業アイデアを創り出すことができます。今回行われたグループワークでは、下記のような事業アイデアが発表されました。

・木質バイオマスを利用した温熱供給事業
・東北のソーシャルセクター財務・会計サポート
・小中学生向けの起業家教育プログラム提供
・そば打ち体験を軸とした観光事業構想「カエルタウン」

こうしたアイデアはワーク時の仮案に留まるのではなく、実行に移されていきます。参加者の皆さんからは、ネクストアクションとして「他地域で起業し、そのプログラムを将来的に川内村に持っていきたい」「会計事務所を開く準備を進める」等、具体的な行動指針を力強くご共有いただいています。

「福島に関心はある。地域での起業に関心はある。だけどまだ自分は具体的な起業プランがない。」そうした方も大丈夫です。起業への第一歩・地域に関わる第一歩として、まずFVC主催のイベントへ参加してみてください。上にあげたような、4つの収穫が得られる場となっています。
11月には東京でフロンティア・ベンチャー・コミュニティの可能性を知ることができるミートアップを、12/16(土)-17(日)には富岡町・楢葉町をめぐる今年度最後の現地ツアーを開催いたします。近日申し込み受付を開始いたします。皆様の奮ってのご参加をお待ちしております!