イベント開催レポート

2017.12.18

楢葉町・富岡町現地ツアー開催報告! 2017.12.16-2017.12.17

先週末12/16-12/17に、福島県楢葉町・富岡町で現地視察ツアーを開催しました。テーマは「まちづくりの課題を事業で解決する」。今年度最後のFVCツアーとなったこのツアーには、過去最多の24名の方にご参加頂きました!
ツアーの案内・先導はいわきのまちづくりを仕掛けるTATAKIAGE Japanの小野寺孝晃理事が担当し、一般社団法人RCFは連携して事務局を担当しました。

楢葉町・富岡町の現地視察ツアーを通じ、参加者の皆さんが福島12市町村での起業・事業展開へどのように一歩近づいたか、そのステップをご紹介したいと思います。
また、本年度のFVC主催イベント(ミートアップ・ツアー)はこのツアーをもって終了となりましたが、イベントの参加有無に関わらず、起業志望者の方々には今後もサポートを継続してまいります。FVCに参画された方が、今どのように起業・事業展開に至ろうとしているか、最後に簡単にご紹介します。福島12市町村で何かアクションを起こしたい方は、この記事をぜひご参考ください。

FVC現地ツアーで起業に近づくステップ その①
多角的な視点から地域の課題や取り組みを把握する

「まちづくりの課題を事業で解決する」というテーマで進行した楢葉・富岡ツアーは、両町ともに行政・まちづくり会社・現地事業者という3セクターにお話を伺い、町の課題や取り組みをさまざまな視点から理解するプログラムでした。地域の課題や取り組みの全体像については、両町の役場の担当者の方々から説明を頂きました。

「帰還率は3割、いわき市に在住している方が6割程度です。心の復興補助金を使い、震災前の賑わいや、人と人とのつながりを取り戻すための活動を展開しています。自転車を活用したコミュニティ形成事業、木戸周辺における農作業および古民家回収を通じた交流創出事業も実施しています。0から1を生みだすカルチャーを作っていくことが課題です。」(楢葉町役場 復興支援課 松本昌弘さん)

「『帰還困難区域』という呼称になっているため、双葉郡は行っては行けない場所、と思われてしまっているのではないかとの懸念から、双葉郡のマップを作成するなど、訪れやすい雰囲気を伝えようとしています。」(富岡町役場 企画課課長補佐 原田徳仁さん)

また、帰還が進みつつある楢葉町・富岡町のまちづくりには、民間主体のまちづくり会社が大きな役割を果たしています。両町のまちづくり会社のキーマンにご登壇頂き、いま展開されている取り組みや、外から起業・事業展開を仕掛ける人々へのサポート体制に関する説明を受けました。

「まちをご覧になって、風景はややさびしかったかもしれません。しかし、今年の桜祭りには2週間で県内外から2000人超の方にお越し頂きました。外から入る方も、とにかく何かアクションすることが重要だと思っています。何か仕掛けるときは相談してください。地域に入りやすいよう必ずアドバイスします。」(一般社団法人とみおかプラス 川崎恵一事務局次長)

「きずなを深め活力を生み出す事業として、町内ガイド、交流人口拡大のための学生ボランティアへの宿泊提供事業を実施しています。また、町民の生きがいづくりのために藍の育成から藍染までを実施しています。楢葉の産業へ育成することも視野に入れています。」(一般社団法人ならはみらい 歳森健司事務局次長)

そして、実際に事業を手掛け、まちの振興に取り組んでいる現地事業者の方々からも学びの機会を頂きました。
富岡町では株式会社ふたばの遠藤秀文社長のもとを訪問。建築コンサルティングを本業としているふたば社ですが、ドローンの測量技術を活用して夜ノ森の桜並木の風景を3Dデータとして撮影・保存するなどの取り組みも行っています。また、遠藤社長はワイン用のぶどう栽培を通じた地域づくりにも取り組んでいます。

「福島の経験が海外に生きるというのはどういう点でしょうか。」(参加者)
「たとえば、災害や戦争で傷む遺産・遺跡を夜ノ森で培った3D撮影技術を使って保存できないかと考えており、いまマチュピチュの映像保存を検討しています。この地域から生まれるものを世界に広げていけるチャンスが転がっています。」(遠藤社長)

楢葉町では、木戸の交民家という地域コミュニティの拠点に、楢葉の現地事業者、あるいは事業支援者の方々が集結しました。畳の部屋で各グループが車座になり、地元の方と参加者とが、この地域でなりわいを行ううえでのポイントや難しさについて対話します。

「この交民家を、町の空き家バンク制度を利用して2016年8月にオープンしました。地域の方、作業員の方、復興支援関係の方……垣根を超えた交流の場を提供し、イベントも不定期に開いています。仮設住宅の供与終了、Jビレッジ再開など、この地域はこれから変化があります。楢葉が元気になれば、周辺の自治体・地域も良くなっていくと期待しています。」(任意団体りきっど。緑川英樹さん)
「人を集めてメッセージを伝えていく、人が集まって何かをやる。古民家の活動は素晴らしいと思います。」(参加者)

「自分が必要とされることに腰を据えて取組みたいと思うようになった時期に震災が起こり、この地域に入りました。最初は、作業員さんや地元の人の声などをとにかく1年程度聞いて回りました。すると、この地域に元々なかった風貌や言葉遣い、ゴミ捨てやマナーの違いで地元の人が作業員の方とのつきあいに不安を感じていました。また、周辺には夜に食事する場所もないことがわかったので、経験もありませんでしたが小料理屋を開くことにしました。今では作業員や町民ばかりでなく、町長はじめ行政の方々や外からの来訪者まで幅広くお越しくださいます。地元のおじさんが若い作業員の人たちにもよく声をかけて、交流が生まれています。」(結のはじまり 古谷かおり店主)

「元から福祉関係の仕事に従事しており、寝たきりの高齢者や自閉症の子どもたちを支援していました。震災後、福祉事業を特定の分野に限ってやるのでなく、地域づくりのための福祉を始めることに決め、分野を特定せず『何でもやります』の姿勢でNPOをスタートしました。被災者の中でも弱い立場の人の境遇が『自己責任』で片付けられることが腹立たしかったのです。しかし、意地や思いだけでは事業化・組織化はできませんでした。起業は一人ではできません。仲間がいるからできました。実績が高まり、有志で関わる人が増え、なりわいになった経緯があります。今は移動支援や帰還した子どもの居場所をつくる仕事などを手がけていますが、このように福祉は地域づくりや人づくりとつながることで人々の生きがいにつながります。」(NPO法人シェルパ 古市貴之代表)
「福祉は分野ごとの縦割りと聞いています。マーケットを確保するのは難しいのではないですか。」(参加者)
「分野を限定してやろうとすると厳しいです。基礎自治体がお墨付きの委託契約のあるものから始め、徐々に領域を拡大しました。たとえば移動支援であれば、二種免許を取得し、タクシー業界を荒らさない約束で準備を進めました。こうした実績があるので、官庁から予算もつけてもらえました。」(古市さん)

参加者の皆さんは、こうした立場がさまざまな方々の講演や対話の機会を通じて、地域の課題やニーズ、取り組み、受けることのできるサポート体制などを徐々に把握していきます。地域での起業・事業展開には、生の声を通じた地域理解が第一歩となります。

FVC現地ツアーで起業に近づくステップ その②
現地キーマンとのつながり・サポートを得る

今回は給食事業・ローソンの開店・旧警戒区域へのツアーなどチャレンジを次々に実行し、富岡町の住民の生活を支えている鳥藤本店 藤田大専務にご同行頂きました。藤田さんはご自身が手がけてこられた事業の説明のほか、夜ノ森地区のバリケード(帰還困難区域へのゲート)や旧商店街の案内役も務めてくださいました。

富岡町の公園に保存されている、津波に飲まれたパトカーを前にして藤田さんは一行にこのような言葉を伝えました。

「タイタニックという映画で僕が号泣するポイントはディカプリオが沈むところではなく、バイオリン奏者が人々の心を和らげるために海に入っても最後まで演奏を続けるところなんですね。この車に乗った警察官の方も住民の命を守る仕事に徹して殉職したことを思うと、このパトカーの前に立つ時、僕もまだまだチャレンジし続けなければという気持ちになるんです。」(藤田さん)

起業・事業展開においては、藤田さんのような外からの人々を受け入れ、チャレンジを後押ししてくれる現地キーマンの存在が欠かせません。今回も、現地キーマンとのつながりが地域起業の強力なエンジンとなることを改めて感じさせるこんなやり取りが。

「私は、Jビレッジを災害復興・防災のノウハウを発信する基地としたいと思っています。福島復興ミュージアムの運営、Jビレッジに来訪した子どもに防災教室を提供するなどの取り組みを今後進めていきます。」(参加者)
「Jビレッジの社長を紹介します。(一同笑、拍手)」(藤田さん)

楢葉町では、交民家の運営や原発避難地域の現状発信に取り組む一般社団法人AFW 吉川彰浩代表にご同行頂きました。バス車内からの町案内を通じ、この地域での難しさ・意義を伝えます。

「この場所でアクションする際に考えなくてはいけないことは、人が一度強制的に引きはがされた場所、そこに人が戻ってくるにはどうしたら良いか?ということです。安心、安全な環境が求められています。それは健康問題だけでなく、人生について夢が描ける場所になる必要があるということです。そこで、ビジネスが人を救えるチャンスになるのです。」(吉川さん)

さらに、地元の行政とのつながりや応援を受けることは極めて重要です。今回のツアーでも、1日目には松本幸英楢葉町町長、2日目には宮本皓一富岡町町長に登壇頂き、この地域での起業を目指す参加者への歓迎メッセージを頂きました。

松本幸英楢葉町町長

 

宮本皓一富岡町町長

ツアー1日目の夜は、宿泊先である天神岬スポーツ公園 しおかぜ荘にて、キーマンの方々を招待して交流会を実施しました。松本幸英楢葉町町長、大和田賢司楢葉町副町長もご参加くださり、参加者40名超の賑やかな宴会に。ネットワーキングも一層深まり、参加者が起業・事業展開を推進しやすい人脈・環境が整っていきます。

FVC現地ツアーで起業に近づくステップ その③
ネクストアクションが具体化され、コミットが深まる

ツアーは視察のみで終わるわけではなく、今後のアクションを具体化する機会でもあります。今回行われたグループワークでは、下記のような事業アイデアが発表されました。

・Jビレッジの災害復興・防災ノウハウの発信基地化
・Jビレッジをゴールとする「ふくしまワインマラソン」を実施し、福島県産のおつまみをフードステーションに設置

こうしたアイデアはワーク時の仮案に留まるのではなく、実行に移されていきます。(たとえば、10月ツアーのワークにて発表された「木質バイオマスを利用した温熱供給事業」「東北のソーシャルセクター財務・会計サポート」等のアイデアは、事業計画書作成や現地調査の段階に入っており、いずれも現在起業のための準備中です。)

また、同行した在京のFVC賛同人からも、参加者の事業アイデアを具体化・精緻化するうえで大切なアドバイスが。

「起業の計画を練るうえでのポイント5点をお話しします。①10-20年後を見据え、時間軸を意識すること。②行政との折衝に要するポリティクスコストを考慮すること。③自分のできる最大のビッグピクチャーを描くこと。④「世界基準(最高レベル)」に対するリテラシーを持つこと。⑤ストラテジー(利益方程式等)を考えること。今後も何か相談がありましたら、個人的にご連絡ください。」(ブルー・マーリン・パートナーズ 山口揚平代表)

「(Jビレッジの災害復興・防災ノウハウ発信基地化に対して)災害復興都市・ふくしまというのは、発信力がある良いプランだと思います。町外の修学旅行生も体感でき、地域の小中の災害教育にもなり、両者の交流もできますね。」(シェアリングエコノミー協会 佐別当隆志事務局長)

ミートアップ・ツアーに参加できなかった方へ

ツアー参加者の方はこうした密度の濃い時間とともに、起業・事業展開への貴重なステップを歩み始めました。しかし、イベントに参加できなかった方、あるいはミートアップには参加したがツアーに行けなかった方も、全く同じようにアクションに踏み出すことができます。たとえば、現在南相馬市で農業分野での起業をFVC事務局とともに推進しており、農地の認証や資金調達を準備している方がいらっしゃいます。その方は過去ミートアップに参加しましたが、ツアー参加経験はありません。

「事業計画策定の支援」「補助金やクラウドファンディング等の支援制度の紹介」「現地キーマンとの仲介」など、FVC事務局は福島12市町村でのアクションを目指す方に幅広い支援メニューを用意しています。まずはFVC事務局(fvc@rcf.co.jp)まで、お気軽にお問い合わせください。

福島12市町村でチャレンジするあなたからのご一報、お待ちしております!